HAKONIWA

箱庭

商品や技に宿る価値を、触れて確かめられる体験に翻訳する。平拓の研究と作品を収めた書庫です。

収蔵 13 作品

  1. 影を、組む。

    組子の建具が落とす影を、一日の時刻を動かして確かめる。

    伝わりにくいこと
    組子の価値が、文様だけでなく、光の向きや置く場所との関係で変わること。
    見る人に分かること
    同じ格子の影が、朝は西の壁、昼は床、夕方は東の壁へ移る様子と、和紙を張ると光がやわらかく広がる違い、釘を使わずに葉をはめ込む組み方をたどれます。

    架空の建築用組子ブランド「KAGE」の頁です。南に窓をひとつ持つ、土壁と杉板の一室に、麻の葉の組子の建具をはめました。冬至のころの朝十時の影から、隙間から日がのぞく逆光の組子、釘を使わずに葉をはめ込む技へと読み進めます。光の実験室では、日の通り道の弧をなぞって 8 時から 17 時まで日を動かすと、影が西の壁から床、東の壁へ移り、和紙を張ると影は消えて、紙を通った光が部屋にやわらかく広がります。部屋も組子も影も、すべてコードで描き、影は組子の立体から日の向きに沿って落としています。

    • 規則から生成した麻の葉の組子
    • 組子の立体から落とす影
    • 日の通り道の弧で動かす時刻
    • 和紙を張る・外すの切り替え
    • 光の筋と、日がのぞく時だけのフレア
    作品を開くPC 推奨。KAGE は架空のブランドで、太陽の位置は概念の模型です
  2. 霧白

    霧の立つ高台で育てた玉露を、茶畑から一煎までたどる。

    伝わりにくいこと
    霧の茶畑や覆いから、淹れ方と一煎までのつながり。
    見る人に分かること
    霧・覆い・一芯二葉・茶筒・淹れる(五十度ほどの湯で二分半)・一煎の順に、たどれます。

    架空の霧島の玉露「霧白」の、ブランドの頁です。霧の茶畑、摘む前に日の光をしぼる覆い、一芯二葉、茶筒から急須へ、五十度ほどの湯で淹れて一煎まで。茶筒も急須も茶畑も、トゥーンシェーディングと色の線画で、すべてコードで描いています。画面に触れると、霧が流れ、葉がそよぎます。

    • トゥーン+色の線画
    • 霧の茶畑
    • 硝子の急須の屈折
    • 触れると流れる霧
    • スクロール連動の工程
    作品を開くPC 推奨。霧白は架空の玉露です
  3. 雨に、ひらく

    京和傘ができるまでを、一本の竹から、スクロールでたどる。

    伝わりにくいこと
    一本の竹から傘になるまでの工程と、部品の名前。
    見る人に分かること
    竹を割り、骨を組み、紙を張り、油を引く順番を、部品の名前と一緒にたどれます。

    竹を割り、骨を組み、紙を張り、油を引いて、ひらく。蛇の目傘の 44 本の骨と紙の折れを式で組み、工程ごとに部品の名前が 3D の骨に添う縦組みの頁です。雨の夜の濡れた石畳、提灯の灯を透かす和紙、水墨風の細い線まで、すべてコードで描いています。

    • 手続き生成の和傘
    • トゥーン+水墨の線
    • 濡れた和紙と石畳
    • 一つの光と霧
    • スクロール連動の工程
  4. 浮世を、舞う

    空に浮かぶ芸者を、一枚の木版画に摺り上げる。

    伝わりにくいこと
    木版画が、絵師・彫師・摺師の手を経て摺り上がる工程。
    見る人に分かること
    版下絵・彫り・摺り・ぼかしの順に、色の版が見当へ重なっていく様子をたどれます。

    絵師が描き、彫師が彫り、摺師が摺る。版下絵から彫り、藍・墨・紅の版が見当へ重なる摺り、ぼかしまでを、読み進めるほどたどる頁です。芸者は 3D のモデルで、線・版のずれ・ぼかし・木目・紙はコードで摺っています。画面に触れると、花びらが舞い、版がすこしずれます。

    • 版を摺り重ねる表現
    • 見当のずれ
    • 視線から描く富士と青海波
    • 頁の動きそのものを工程に
  5. 墨に、立つ

    和紙の余白に立つ侍を、墨だけで描いていく。

    伝わりにくいこと
    水墨で、墨の濃淡を重ねて描いていく順番。
    見る人に分かること
    清・淡から重・濃・焦へ、墨が重なって一枚の絵になるまでをたどれます。

    和紙に立つ侍を、水墨の描き方で見せる頁です。墨の五彩(清・淡・重・濃・焦)を順に重ね、筆の線、背を走る一閃、焦で白黒が返る拓本、落款まで。侍は 3D のモデルで、墨の濃さ・筆の線・にじみ・紙はコードで描いています。紙に触れると、墨がにじみます。

    • 墨の五彩
    • 筆圧で変わる線とかすれ
    • にじみの縁と紙の目
    • 節ごとに変わる頁の見せ方
  6. 夜の百合・虹彩

    黒い鏡の水面に、白百合と香水瓶。読むほどに花がひらく。

    架空の香水を題材に、植物画のような線画とトゥーンの段で描いた世界です。百合は型ひとつから開き具合で形を組み、スクロールでカメラが花束の間をめぐり、満開の花びらが水面に舞い落ちて輪を立てます。硝子のフレネルと薄膜の虹色を、絵の具で塗ったような段で表しています。

    • トゥーン+画面空間の線画
    • 手続き生成の百合
    • フレネルと薄膜の虹色
    • 一滴ごとの波紋
    • 鏡の水面
    作品を開くPC 推奨。架空の香水です
  7. 夜の百合

    黒い鏡の水に立つ香水瓶と白百合。トゥーンと線画で、読むほど花がひらく。

    架空の香水 Lys de Nuit の頁です。黒い鏡の水面に立つ香水瓶と、白百合の花束。百合は型ひとつから開き具合で形を組み、スクロールでカメラが花束の間をめぐって、香りの節を進むごとに一輪ずつひらきます。満開の花びらは水面に舞い落ち、着水した所に細い線の輪が立ちます。

    • トゥーン+画面空間の線画
    • 手続き生成の百合
    • 一滴ごとの波紋
    • 鏡の水面
    作品を開くPC 推奨。架空の香水です
  8. 壺の中の歳月

    錦江湾を見下ろす壺畑で、ひとつの壺の中の歳月をたどる。

    伝わりにくいこと
    壺の中で、仕込みから熟成までに起きていること(外からは見えない)。
    見る人に分かること
    仕込み・糖化・発酵・熟成の順に、壺の中の変化と、壺ごとに違う歳月をたどれます。

    鹿児島・福山の壺造りの黒酢を題材にした頁です。麹・蒸した米・水を仕込んだ壺の中で、糖化・アルコール発酵・酢酸発酵が重なって進み、琥珀から黒褐色へ深まっていく様子を、読み進めるほど壺を透かして見せます。朝から日の入りまで光が移り、ほかの壺も、触れるとその壺の歳月が透けます。壺も畑も湾も、すべてコードで描いています。

    • 透けて見える壺の中
    • 一日の光の移り変わり
    • 手続き生成の壺畑と桜島
    • 被写界深度とフィルムの仕上げ
    • スクロール連動の工程
    作品を開くPC 推奨。実在の産地を題材にした試作で、特定の銘柄ではありません
  9. 水の工房

    古い工房に張った水の上で、紅の切子が一刀ずつ育つ。

    伝わりにくいこと
    切子の文様が、一刀ずつ彫られていく過程。
    見る人に分かること
    読み進めるほど文様が彫り進む様子と、光を通したときの紅の見え方を、たどれます。

    格子窓から差す西日が切子の真後ろから入り、紅が逆光で灯ります。土壁・梁・作業台・道具までを式だけで描いた部屋に澄んだ水を張り、水面には障子の組子が映ります。読み進めるほど、薩摩切子の文様が彫り進みます。

    • 解析的に描いた部屋
    • 窓の光と格子の影
    • 鏡の水面
    • 光の筋と埃
    • 被写界深度
  10. 光を、手で彫る

    湯に浮かぶ檜の盆の上で、紅の切子が一刀ずつ育つ。

    伝わりにくいこと
    切子の文様が、一刀ずつ彫られていく過程。
    見る人に分かること
    色被せから磨きまでの順に、溝が一本ずつ彫り進む様子をたどれます。

    薩摩切子と霧島の湯を題材にした、縦組みの頁です。色被せ・当たり・荒摺り・石掛け・磨きと、読み進めるほど溝が一本ずつ彫られ、最後に焼酎が注がれます。切子も盆も湯もコードで生成し、硝子を抜ける光の道を式で追って、盆に紅の文様の光を落としています。湯に触れると、波紋が立ちます。

    • 手続き生成の薩摩切子
    • 硝子を抜ける光の道
    • 湯に浮かぶ盆
    • スクロール連動の工程
  11. 夢の湯

    鏡の海に浮かぶ岩の島。鳥居の門に、夕日がにじむ。

    和風 dreamcore の露天風呂です。どこまでも続く浅い鏡の海に朱の鳥居が立ち、灯籠流しの灯りが点々と浮かび、満開の桜から花びらが舞い落ちて湯に浮かびます。湯をなぞると、花びらと灯籠が流れに乗ります。

    • 鏡の海の平面反射
    • 流れに乗る花びらと灯籠
    • 夢の画面効果
    • 手続き生成の鳥居と桜
  12. 青空の湯

    晴れた高台の露天風呂。湯をなぞると、もみじが流れに乗る。

    澄んだ翡翠色の湯と、竹の湯口から落ちる湯。上に雲の流れる青空、奥に霞む山並み。湯をなぞると流れが生まれ、散ったもみじの葉が流れに乗って、手を離した後もしばらく流れ続けます。波と流れのシミュレーション、屈折と映り込み、日差しの影と水底の網目を、自作のエンジンで描いています。

    • 波と流れのシミュレーション
    • 屈折と映り込み
    • 日差しの影と水底の網目
    • 流れに乗る浮かぶ物
  13. 霧の湯

    霧の中の岩風呂に、波紋と湯気。ここから始まった。

    霧の中の岩風呂です。乳白がかった翡翠色の湯に湯気が立ち、奥の岩が湯面に映ります。湯をなぞると V 字の航跡が映り込みを揺らし、クリックすると一滴落ちたような輪が広がり、底からは湯が不規則に湧きます。岩もコードで削り出した、この書庫で最初につくった作品です。

    • 波の方程式の波紋
    • 湯の色の吸収と散乱
    • 平面反射の映り込み
    • 手続き生成の岩