懸念が集まるのは、作成と確認のあいだ
懸念の印が付いたのは「実績を集計し、説明案を作る」と「数字と説明を確認する」の2つの工程です。経営企画と経理のあいだには、判断が加わる工程が2か所、差し戻しが1回(記録)あります。
架空のケースA
EXAMPLE
架空のケースA(毎月の実績報告)で、診断の進め方と、分かったこと、そのあとに確かめることを紹介します。
このページのケースは、架空です
ケースA は、説明のためにつくった架空の会社・架空のデータです。実在の会社やお客様の事例ではありません。
画面は、平拓が開発している診断の仕組みに、このデータを入れて表示したものです。
このページの印
架空のケースA
START
ケースA は、毎月の実績を経営会議に報告する仕事です。報告の目的は「経営会議で売上の変化を把握するため」と話されています。
作成には Excel と AI の下書きを使っています。作成担当は、導入の前後で作成の時間が減ったと話しています(本人の感覚によるもので、測った値ではありません)。
一方で、資料が揃う日は変わらない、という説明もあります。
今回の範囲
この二つの話のあいだで、何が起きているのか。ここからは、ケースA の資料で見ていきます。
架空のケースA
VIEW
9月の報告一件を、受け付けから会議への提供まで、記録の日時でたどりました。仕事の流れは、5つの工程です。
営業データと外部抽出データが、メール・共有フォルダで届く。集計するファイルが揃えば終わり。
経営企画・作成担当
Excel と AI の下書きで、確認担当へ渡す案を作る。
経営企画・作成担当
問題がなければ確認済みと連絡し、足りない点があれば作成担当へ戻す。
経理・確認担当
確認済みの資料を、部長が判断し、メールで承認する。
経営企画・部長
承認済みの資料を、共有フォルダ・メールで提供の通知をする。
経営会議へ

| 日時 | 出来事 | 工程 |
|---|---|---|
| 9月3日 9:00 | 集計するファイルを受け取る | 受け付け |
| 9月3日 9:30 | 集計表の編集を始める | 作成 |
| 9月4日 15:00 | 確認担当へ初稿を送る | 作成 → 確認 |
| 9月7日 10:00 | 確認担当がファイルにコメントを保存する | 確認 |
| 9月7日 10:15 | 「販売区分の説明を確認してください」と差し戻す | 確認 → 作成 |
| 9月7日 11:00 | 作成担当が修正ファイルの編集を始める | 作成 |
| 9月8日 14:00 | 修正版を確認担当へ送る | 作成 → 確認 |
| 9月9日 11:00 | 確認済みの連絡 | 確認 |
| 9月10日 16:00 | 部長の承認メール | 承認 |
| 9月10日 16:30 | 会議事務局へファイルの提供を通知する | 提供 |
日時は、架空のケースのものです。
架空のケースA
FINDINGS
資料から読み取れたことを、機能している点・懸念・まだ分からないことに分けました。
確認担当は、会計上の扱いと説明まで確認する役割を持っています。9月は、差し戻し → 修正 → 確認済み、までの記録があります。
AI の下書きを、作成者の確認・確認担当の確認・部長の承認を経てから、会議資料にする運用があります。
そろえる成果物については、作成と確認の双方の説明が一致しています。けれど、説明案が満たすべき品質の条件や確認の観点が、どこまで共有されているかは確認できません。
作成の時間が減ったという申告と、資料が揃う日は変わらないという説明。そのあいだで何が起きているかは、この資料では特定できません。
懸念の印が付いたのは「実績を集計し、説明案を作る」と「数字と説明を確認する」の2つの工程です。経営企画と経理のあいだには、判断が加わる工程が2か所、差し戻しが1回(記録)あります。
確認の工程には、記録のない区間が2つあります(暦の上で2日19時間15分〈土日を含む〉と、21時間)。何をしていた時間かは、資料からは分かりません。待っていたとも、作業していたとも決めず、確かめる点として残します。
会議事務局への提供は、記録があります。けれど、会議で実際に使われたか、売上の変化の把握に役立ったかは、資料からは判断できません。報告の目的と、仕事や受け手とのつながりも、資料には見当たりませんでした。
作成担当の作業時間は申告だけです。確認担当の作業時間や手戻りの記録は、資料にありませんでした。
架空のケースA
DECISION
診断の結論は、何かをつくることとは限りません。資料で裏づけられることと、まだ分からないことを分けたうえで、次の一手を選びます。
比べる選択肢では、「開発はせず、追加の確認から始める」にあたります。
架空のケースA の資料から考えた一手です。実際の会社では、状況によって次の一手は変わります。
機能している点として挙がった2つ(確認担当の役割と、AI の下書きを確認と承認を経てから使う運用)は、どの選択肢を比べるときにも、損なわないかを確かめます。
架空のケースA
AFTER
診断のあとに取り組んだことは、診断のときと同じ観点で確かめます。ケースA なら、たとえば次の項目です。結果の数字は、確かめてから書きます。
| 確かめること | 基準にするもの(ケースA の今の資料) | 確かめ方 | 時期 |
|---|---|---|---|
| 資料が揃う日 | 9月の一件では、受け付けが9月3日 9:00、会議事務局への提供の通知が9月10日 16:30(記録) | 毎月の報告で、同じ2つの記録の日時を見る | 次の報告から、毎月 |
| 作成の時間 | 減ったという申告だけ(測った値はない) | 作業の時間を記録して測り、申告とは分けて残す | 測り方を決めた月から |
| 差し戻し | 9月は1回。「販売区分の説明を確認してください」(記録) | 毎月の差し戻しの回数と理由を残す | 毎月 |
| 確認の工程の、記録のない時間 | 暦の上で2日19時間15分(土日を含む)と21時間。何をしていた時間かは未確認 | 担当に聞き、記録と突き合わせる | 次の一手を決める前 |
| 説明案の品質の条件と、確認の観点 | どこまで共有されているか、確認できない(所見) | 条件と観点を書き出し、作成と確認で同じものを見ているかを確かめる | 次の一手を決める前 |
| 会議での使われ方 | 提供は記録あり。利用と成果は未確認 | 経営会議で、売上の変化の把握に使われたかを、会議の参加者に確かめる | 会議のあと |
確かめた結果が思わしくないときも、それを次の判断の材料にします。