架空のケースA

EXAMPLE

診断で、何が分かり、何を決めるのか。

架空のケースA(毎月の実績報告)で、診断の進め方と、分かったこと、そのあとに確かめることを紹介します。

ケースA の要約

状況
毎月の実績報告。作成の時間は減ったと聞くが、資料が揃う日は変わらない。
分かったこと
懸念は、作成と確認のあいだに集まる。確認の工程には記録のない時間が2つあり、何をしていたかは、まだ分からない。
次の一手
開発は、まだ決めない。資料が揃う日の記録を毎月残し、記録のない時間を担当に聞くところから始める。

このページのケースは、架空です

ケースA は、説明のためにつくった架空の会社・架空のデータです。実在の会社やお客様の事例ではありません。

画面は、平拓が開発している診断の仕組みに、このデータを入れて表示したものです。

このページの印

  • 記録日時の残っている記録から分かること
  • 発言関係者の発言・申告(測った値ではない)
  • 未確認資料からは分からないこと

架空のケースA

START

作成の時間は減ったと聞く。でも、資料が揃う日は変わらない。

  • 発言

    ケースA は、毎月の実績を経営会議に報告する仕事です。報告の目的は「経営会議で売上の変化を把握するため」と話されています。

  • 発言

    作成には Excel と AI の下書きを使っています。作成担当は、導入の前後で作成の時間が減ったと話しています(本人の感覚によるもので、測った値ではありません)。

  • 発言

    一方で、資料が揃う日は変わらない、という説明もあります。

今回の範囲

進め方
受け取った資料から診断する
範囲
経営企画・経理・経営会議
つながりだけ
営業部・外部の販売データ運用会社(中の仕事は、今回の範囲の合意により調べていません)

この二つの話のあいだで、何が起きているのか。ここからは、ケースA の資料で見ていきます。

架空のケースA

VIEW

一件の報告が、どこを通って、誰に届くか。

9月の報告一件を、受け付けから会議への提供まで、記録の日時でたどりました。仕事の流れは、5つの工程です。

  1. 段階 1:月次データを受け付ける

    営業データと外部抽出データが、メール・共有フォルダで届く。集計するファイルが揃えば終わり。

    経営企画・作成担当

  2. 段階 2:実績を集計し、説明案を作る

    Excel と AI の下書きで、確認担当へ渡す案を作る。

    経営企画・作成担当

  3. 段階 3:数字と説明を確認する

    問題がなければ確認済みと連絡し、足りない点があれば作成担当へ戻す。

    経理・確認担当

  4. 段階 4:報告内容を承認する

    確認済みの資料を、部長が判断し、メールで承認する。

    経営企画・部長

  5. 段階 5:会議事務局へ提供する

    承認済みの資料を、共有フォルダ・メールで提供の通知をする。

    経営会議へ

DX/AX 診断の 3D の画面(架空のケースA)。部署ごとの島と、仕事の流れの道筋
診断の仕組みの画面(架空のケースA)。部署ごとの島と、仕事の流れ。10秒ごとに視点が替わります。クリックすると、回したり寄ったりできます。

同じ記録を、視点を替えて見る

  1. 通常仕事がどこから入り、どこを通って、誰へ渡るか
  2. 情報と技術その工程を、どの情報・道具・確認が支えているか
  3. 負担誰の負担の手がかりが、何で分かっているか

9月の報告一件の記録

日時出来事工程
9月3日 9:00集計するファイルを受け取る受け付け
9月3日 9:30集計表の編集を始める作成
9月4日 15:00確認担当へ初稿を送る作成 → 確認
9月7日 10:00確認担当がファイルにコメントを保存する確認
9月7日 10:15「販売区分の説明を確認してください」と差し戻す確認 → 作成
9月7日 11:00作成担当が修正ファイルの編集を始める作成
9月8日 14:00修正版を確認担当へ送る作成 → 確認
9月9日 11:00確認済みの連絡確認
9月10日 16:00部長の承認メール承認
9月10日 16:30会議事務局へファイルの提供を通知する提供

日時は、架空のケースのものです。

架空のケースA

FINDINGS

良い点も、懸念も、分からないことも、分けて書く。

資料から読み取れたことを、機能している点・懸念・まだ分からないことに分けました。

  • 機能している点

    確認担当は、会計上の扱いと説明まで確認する役割を持っています。9月は、差し戻し → 修正 → 確認済み、までの記録があります。

  • 機能している点

    AI の下書きを、作成者の確認・確認担当の確認・部長の承認を経てから、会議資料にする運用があります。

  • 懸念

    そろえる成果物については、作成と確認の双方の説明が一致しています。けれど、説明案が満たすべき品質の条件や確認の観点が、どこまで共有されているかは確認できません。

  • まだ分からないこと

    作成の時間が減ったという申告と、資料が揃う日は変わらないという説明。そのあいだで何が起きているかは、この資料では特定できません。

記録

懸念が集まるのは、作成と確認のあいだ

懸念の印が付いたのは「実績を集計し、説明案を作る」と「数字と説明を確認する」の2つの工程です。経営企画と経理のあいだには、判断が加わる工程が2か所、差し戻しが1回(記録)あります。

未確認

記録のない時間を、「待ち」と決めない

確認の工程には、記録のない区間が2つあります(暦の上で2日19時間15分〈土日を含む〉と、21時間)。何をしていた時間かは、資料からは分かりません。待っていたとも、作業していたとも決めず、確かめる点として残します。

未確認

届いているのは、どこまでか

会議事務局への提供は、記録があります。けれど、会議で実際に使われたか、売上の変化の把握に役立ったかは、資料からは判断できません。報告の目的と、仕事や受け手とのつながりも、資料には見当たりませんでした。

未確認

誰の負担が大きいかは、まだ分からない

作成担当の作業時間は申告だけです。確認担当の作業時間や手戻りの記録は、資料にありませんでした。

「分からない」にも、種類があります

  • 資料に見当たらない(記録があるかどうか自体も、まだ分からない)
  • 今回の範囲の合意で、調べていない
  • 共有された記録がない

架空のケースA

DECISION

いま決められること、まだ決めないこと。

診断の結論は、何かをつくることとは限りません。資料で裏づけられることと、まだ分からないことを分けたうえで、次の一手を選びます。

ケースA で、いま決めること(次の一手)

  1. 次の報告から、受け付けと会議事務局への提供の、2つの日時を毎月残す
  2. 確認担当に、記録のない2つの区間で何をしていたかを聞き、記録と突き合わせる
  3. この2つが分かるまで、開発するかどうかは決めない

比べる選択肢では、「開発はせず、追加の確認から始める」にあたります。

架空のケースA の資料から考えた一手です。実際の会社では、状況によって次の一手は変わります。

ケースA で、まだ決めないこと

  • 作成の時間と、資料が揃う日の食い違いの原因(資料では特定できない)
  • 誰の負担が大きいか(まだ分からない)
  • 何を変えるか(変更の候補は、まだ登録されていない)
  • 変えるときに、誰が決めるか(未確認)

損なわないかを確かめるもの

機能している点として挙がった2つ(確認担当の役割と、AI の下書きを確認と承認を経てから使う運用)は、どの選択肢を比べるときにも、損なわないかを確かめます。

比べる選択肢

  • 業務のやり方を変えるか
  • まず運用を整えるか
  • 既存の製品・サービスを使うか
  • AIやシステムをつくるか
  • 他社に依頼するか
  • 開発はせず、追加の確認から始めるか

架空のケースA

AFTER

何を、どの基準で、いつ確かめるか。

診断のあとに取り組んだことは、診断のときと同じ観点で確かめます。ケースA なら、たとえば次の項目です。結果の数字は、確かめてから書きます。

確かめること基準にするもの(ケースA の今の資料)確かめ方時期
資料が揃う日9月の一件では、受け付けが9月3日 9:00、会議事務局への提供の通知が9月10日 16:30(記録)毎月の報告で、同じ2つの記録の日時を見る次の報告から、毎月
作成の時間減ったという申告だけ(測った値はない)作業の時間を記録して測り、申告とは分けて残す測り方を決めた月から
差し戻し9月は1回。「販売区分の説明を確認してください」(記録)毎月の差し戻しの回数と理由を残す毎月
確認の工程の、記録のない時間暦の上で2日19時間15分(土日を含む)と21時間。何をしていた時間かは未確認担当に聞き、記録と突き合わせる次の一手を決める前
説明案の品質の条件と、確認の観点どこまで共有されているか、確認できない(所見)条件と観点を書き出し、作成と確認で同じものを見ているかを確かめる次の一手を決める前
会議での使われ方提供は記録あり。利用と成果は未確認経営会議で、売上の変化の把握に使われたかを、会議の参加者に確かめる会議のあと

数字だけでなく、状態も見ます

  • 優先順位が、関係者のあいだで共有されているか
  • 判断の責任が、はっきりしているか(ケースA では、変更を誰が決めるかが未確認)
  • 改善を、小さく試せるか
  • 結果から、やり方の標準を更新できるか

確かめた結果が思わしくないときも、それを次の判断の材料にします。

自社の場合、何から確かめるか。

資料がそろっていなくても構いません。今の状況を伺い、何を確かめるかを一緒に決めます。診断だけのご依頼も承ります。

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